物流の配送について、無茶な依頼を受けることがあります。
なるべく要望には応えたいところですが、
配送時間の短縮は物理的に限界があります。
配送の流れ
物流(倉庫)会社の荷主としてメーカー企業があります。
メーカーが物流会社に配送依頼をすると物が動きます。
品名:商品A
数量:100個
納品日:12/20(金)
納品先名:メンタルよわお株式会社
納品先住所:東京都新宿区××
備考:午前着希望 担当:赤佐田様宛
メーカーはFAXやメールなどで依頼書を送ります。
依頼書を送るタイミングは物流会社とメーカーによってマチマチですが、
届け先の住所や数量によっても色々なパターンがあります。
・都内に配送する場合は、納品日前日の午前中までに依頼する
・北海道や沖縄に配送する場合は、1週間前までに依頼する
・12月はトラックが足りなくなるので、早めに依頼する
・数量が1000個を超える場合は貸切便を手配するので、早めに依頼する
基本的にパターン通りに依頼がきますが、たまにイレギュラーが発生します。
「当日中に配送できませんか?」
「北海道へ明日着で届けてください」
物流会社からすると手間でしかないですが、
メーカーにはメーカーの事情があるのでしょう。
力関係で言ったら物流会社は最弱なので(会社によるかな?)、
何とか配送する方法を考えます。
【力関係】
物流会社 < メーカー(荷主) < メーカーの得意先
急な依頼の場合、大体はお金を出せば解決します。
「通常の運賃プラス1万円なら配送可能です」と物流会社は言います。
これは足元を見てるわけではなく、経費が増えるので仕方ないのです。
メーカーはこの言葉を受けて、
「それなら通常の配送でいいです・・・」と諦めるか、
「はい。プラス1万円払うので配送してください」を選択します。
不可能な依頼
お金で解決できるときはマシですが、物理的に不可能な依頼があります。
ぼくの経験談ですが、18時過ぎにこんな電話がきました。
「今から東京で積み込みをして、翌朝8時半までに愛媛に届けてほしい」
無 茶 な !
荷物がダンボール1箱とかなら可能かもしれませんが、
この依頼は荷物の重量が8トン近くあったので、
10トン車のチャーター便じゃないと届けられない依頼でした。
この時間から車を手配して積込作業してたら早くても20時でしょう。
大型トラックで東京20時発→8時半に愛媛着って。
ドライバーを殺す気ですか。
これの経緯ですが、メーカーさんの依頼漏れでした。
「どうしても届けて!」という気持ちは痛いほど分かりますが、
物理的に不可能なのでお断りしました。
結局どうなったかあまり覚えていませんが、確か翌々日の8時半納品で着地した気がします。
物流会社は疲弊している
一般の人が物流に対してイメージするのは、
ヤマト運輸や佐川急便のような宅配かなと思います。
・翌日に届く
・時間指定ができる
・再配達してくれる
あと、バイク便や赤帽はビジネスでもよく使われているので、
「当日配送は可能」という認識は間違いではありません。
でも、バイク便や赤帽ってめちゃくちゃ高いです。
宅配便も高い。
トラック運送には運賃タリフ(料金表)というものを国土交通省が出しています。
それを基にして、配送料を決めている企業は多いのですが、
これがめちゃくちゃ安いです。
特に”昭和60年タリフ”というのは安くて、でも使っている企業は多くて、
当時ぼくが勤めてたのは平成20年ぐらいでしたが、
20年も前に設定された運賃で配送していたことになります。
そりゃ物流企業は疲弊しますよ。
↓
人件費を抑えるから働き手が減る
↓
働き手は減っているのに、ネットショッピングなどにより物量は増えている
↓
過積載など違法な積込をしたり、長時間労働をしないと回らない
↓
法令違反が明るみに出る
↓
世間のイメージが悪くなり、また働き手が減る
悪循環です。
話が逸れましたが、一般の人はそんなことまで知りません。
「緊急時にはお金を出せば即時配達可能」というのは事実ですが、
通常運賃の何倍にもなるということだけは覚えておくといいかもしれません。
余談
距離と時間だけを考えたら12時間で東京から愛媛まで行けるかもしれません。
もし配送料を3倍で請求できるなら、請ける運送会社はいただろうな。
多少無理してでも普段の3倍もらえるなら得です。
なかなか美味しい仕事かも?
余談その2
ぼくも仕事でミスをして、赤帽やバイク便を走らせたことがあります。
納品が完了するまでめっちゃドキドキします。
あと、上司に経費精算や報告書を出すのもドキドキします。
今は物流や発注と無縁な業務についているため、メンタルが穏やかです(笑)。