山九、採用に「氷河期」枠 22年までに300人 人手確保へ他社に先駆け
2022年までの3年間で計300人の採用枠を設ける。
政府は就職氷河期世代の支援を打ち出している。
一般的な中途採用に比べて人材育成コストなどは必要になるものの、山九は他社に先駆けて同世代の採用に乗り出すことで人手確保につなげたい考えだ。
(2019年8月22日 日経新聞夕刊より)
上場企業へ就職チャンス
山九(さんきゅう)は東証一部に上場している大手企業です。
物流業界全体が人出不足とはいえ若手ではなく氷河期世代を採用するのは面白いですね。
記事によると、化学プラントの設計や通関業務を行えるとのことなので、ドライバーやフォークリフトの作業員といった力仕事ではなさそうです。
仮に40歳で入社して、重たい荷物を運ぶ肉体労働だと大変ですもんね。
例えば通関は国家資格なので手に職がつけれらます。
採用の条件に職務経験は関係ないとのことなので、いま満足な仕事に就けていない人にとってはなかなかのチャンスかなと思います。
いいなー!一部上場企業!
なぜ人材不足なのか?
ところで、なぜ物流業界は人材不足なのでしょうか?
その理由は「減点方式」にあると思います。
物流業界に勤めていると、褒められることはほぼありません。
「時間通りに届けるのが当たり前」
「きれいに保管するのが当たり前」
「輸出手続きを正確にやるのは当たり前」
顧客はこういった認識を持っていますが全然違います。
もちろん正確にやることを目指しますが100%はムリです。
交通事故は0になりませんし、医療ミスも0にならないのと同じです。
・配送が遅れる
・輸送中に破損する
・書類作成を間違える
言い方は悪いですが、こんなことは日常茶飯事です。
ヤマトや佐川のような宅配便を個人で利用する分にはそんな実感ないと思いますが、毎日何トン、何千個という物を扱う物流業界では上記のような事故はほぼ毎日起こります。
「1ヶ月のうち、29日は何事もなく荷物を運んだ」←普通
「1ヶ月に1回、トラブルを起こす」←ヤバい
1回のトラブルでヤバい認定され、減点されてしまいます。
「1ヶ月、何事もなく」でプラスマイナスゼロです。
こういう認識を持たれているので、褒められることはまずありません。
「やって当たり前」と思われるのが一番大変です。
また、減点方式という評価体系なので、なかなか年功序列を破るのも難しいです。
加点方式なら抜擢出世もあるかもしれませんが、減点方式では年長者を追い越す理由がつけられません。
さらに、物流業界では経験が物をいう側面があります。
物流現場ではドライバーや作業員など様々な人が関わります。
倉庫、配送、港湾、どの現場でもそうです。
そこには年長者や実力者が少なからずいて、よほどの能力やカリスマ性がない限り、若者というだけで軽く見られてしまいます。
実際、経験がないと対処できないことがけっこう起こります。
以上のことから、物流業界は「ベンチャー企業のように若手でも出世できる!」とはならず、それが人出不足に繋がっていると思います。
「いまの若者は」とかあまり言いたくないですが、長く勤める意志がないと物流業界への就職は厳しいかもしれません。
まとめ
・山九の取り組みはGood。他の企業も導入してほしい。
・物流業界は減点方式。それが嫌な人には向かない。